089
社会を変えたければ政治を拒否することはできない、諦めたくない
大塚愛
岡山県議会議員/大工
岡山

市民活動のネットワークから深まり広がる政治
─── 議員として、目指してきたこと、活動してきたことが色々あると思うんですが、どこに力を入れているんですか?
子ども、教育、環境、エネルギーはパンフレットにも書いている自分の柱です。議員になる前は、原発事故や放射能被害、避難者支援や、福島とつながって応援することなどがテーマでそこに全力を注いできたけれど、議員になったらその角度だけじゃない。支援活動を通じていろんな市民活動をする人たちと出会い、そのネットワークの中で活動してきました。今度はその人たちの活動をより深く知り、課題を共有して関わったり、行政に提案して進めて行ったりする。今までのつながり1つ1つが深く広くなって行くイメージですね。
─── そして経験を積んで、愛さん自身にやれることも増えていく
この数年、特に力を入れているのは教育です。今までみんな一律で、同じ箱に入れて一斉に競争させる教育だったのが限界に来ている。いろんな特性がある子どもを理解して個別に対応するという特別支援教育でやってきたことを、普通の学校でもできるよう変えようとしているけれども、なかなか進まない。なので、保護者団体や支援団体とつながって、必要な仕組みなどについて議会質問して変えていけたらと思っています。
あと、全く新しく出会った強度行動障害という分野があります。重い自閉症や知的障害などの人たちが育つにつれ、言葉でコミュニケーションできないストレスで、激しい自傷、多傷、物損行為、大声などの突発行動が頻発する大変な状態があって。入所、対応できる施設が限られているから家庭で見ざるをえない。福祉の世界で頑張ってる人たちから、自分のところでは対応の成功体験を積んできたから、このノウハウを広めてなんとかしたいという話を聞いて。もう私、もうこりゃほんまにやらんといけんと思って、2年前にみんながびっくりするぐらい本気で動きました。心ある県の担当者もすごく動いてくれたおかげで、県に部会が新しくできて、今年から支援制度も新しくできたんです。
─── 素晴らしい。愛さんの耳があるおかげで、声が聞かれたということですね。
この話はもうボンボンボンってびっくりするくらい動いたけど、教育のことなんかは、1個1個積み重ねてずっと続けていること。一方で有機農業を増やすことや、省エネ再エネのことなどは、議員になって最初の数年間一生懸命そういう質問をしても、全然響かなくて。ところが2年前かな、カーボンニュートラルを国が大きく打ちだして予算も付き出したら、今度は同じことを質問しても、反応が全然違ってくる。県の計画ができたり、新しく補助制度ができたり、今まで泣かず飛ばずだったことが動き出してもいます。スピードはそれぞれですね。

─── 最後に、議員を目指す可能性のある女の子たちに、何かメッセージがあれば。
ぜひぜひ、トライしてください。女性だからOKなわけではないかもしれない、それはジェンダーなのかもしれないけれど、経済や権力じゃなく、命にとってどうか、子どもたちにとってどうかという感性を持っている人にもっと議員になってほしい。子どもに対する予算も日本は少ない、今までの政治にはその要素がまだまだ足りないと思います。今、いろんな選挙を見ていても、30代、40代の女性が出ると票が伸びる。男性の議員も、「これからは女性じゃわ」って言ってます。
─── それだけ求められている?
うん。そう思います、ぜひその波に乗ってほしいです。

- 大塚愛
- 1974年岡山生まれ、岡山大学教育学部卒業。福島県川俣町での農業研修を経て、川内村へ。4年間の大工修業の後、大工を営みながら家族とともに自給自足の暮らしを送る。2011年3月11日の震災と原発事故により一家で故郷の岡山へ避難。同年5月に「子ども未来・愛ネットワーク」を立ち上げ、避難者のサポートや保養受け入れに取り組む。2016年秋より岡山県議会議員。
インタビュー日 2023年6月19日
取材・文・写真 塩本美紀
おすすめインタビュー
-
宮城 気仙沼
畠山菜奈
舞根キッチン
舞根という土地に惹きつけられ、選択してきたことが形になっていく
-
岩手 釜石
黍原里枝
一般社団法人三陸駒舎/かまめっちょの会代表
子どもたちが大きくなったときも、安心して来られる場所、働ける場所にしたい
-
岩手 陸前高田
三浦尚子
ワカメ生産者/ライフスタイルブランド「ura」
ドン底から救ってくれた海との暮らしは、私らしく進む道を照らしてくれる
-
福島
小池晶子
デザイナー/クラフト作家/如春荘の会 副代表
足元の暮らしを見つめて、楽しく日常を送ることを大切にできたら
-
岩手 陸前高田
伊勢友紀
特定非営利活動法人桜ライン311 副代表/シンガーソングライター
この感情を忘れない。桜も歌も、未来につなぎ残していくための形。
-
宮城 東松島
横山淑恵
ベーカリーカフェ「ル・ニ・リロンデール」店主
報道の世界から一転。巣立っても帰って来られる“ツバメの巣”のような場所を