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リアルな経験を活かす。離婚・再婚・出産を経て、描き直したライフストーリー
竹下小百合
夫婦・パートナー問題専門カウンセラー/ミライフ(株)代表
宮城 仙台

ステップファミリーとして見えた新しい家族の形
─── そして数年後、現在のパートナーとご結婚されたんですね。
再婚は2019年の3月でした。以前からビジネス上での知り合いでしたが、当時はお互い家庭もあったし、まさかお付き合いしたり結婚したりするとは思ってもいませんでした。
「グラスルーツ・アカデミー」の研修を通して、そうした気持ちに蓋をせず、恋愛をしたり自分の本当にやりたいことを認めることが少しずつできるようになったのは大きな意味があったと思います。
ただ、実際籍を入れるかどうかは迷いました。以前のように”家”やパートナーに縛られるのは嫌だなとも感じていて、結婚はもういいかなと考えていたんです。
─── お相手はなんとおっしゃってたんですか?
やはり前のご家族のこともあり、結婚にはなかなか踏み出せずにいましたね。ただ本当のことを言えば、いつかは息子にきょうだいを作ってあげたいなという気持ちも持っていました。
そんな時に、妊娠していることがわかって。私は事実婚か未婚でもいいから産もうかなと考えたんです。
だけど彼に妊娠していることを話したら、結婚をしないで産ませるのはありえないから、と言われて。結局、籍を入れ、4人で暮らすことになりました。次男のことは長男もすごく可愛がってくれています。

─── 新しい家族の形になったんですね。
二人とも失敗を経験しているから、喧嘩をしても「もうこの辺で仲直りしよう」とどちらかが言い出して、終わりにできる。
それに今の夫は私にずっと家にいて欲しいとか、仕事をするなとか一切言わないです。
完璧ではないけれど、今が一番、自分らしく過ごせている気がします。
私はやりたい仕事ができ、夫も理解してくれていますし、夫の営む経営塾を私がお手伝いする部分もあります。中学生の長男の音楽関係の道に進みたいという夢を夫も応援してくれています。
こんなふうに、家族のことをお互い応援できて、守りたいものもあって。毎日充実しています。
─── 素敵です。今後、小百合さん自身はどんな夢を持っていますか?
シアトル研修で、最後にスピーチをした時、「5年後に、自分と同じようなシングルマザーをここに連れてきて、考えを変えるお手伝いがしたい」と宣言したんです。まだ実現できていないけど……(笑)。女性にとって学びは本当に大切で、それが武器というか生活の大切な軸になると実感しているんですね。だから、やっぱり最初にお話ししたように、女性が自分らしく生きていく土台を作ることができたらなと思っています。
宮城県をはじめ東北の人口が増え、ここで暮らす人の笑顔が増えたらいいなと思いますし、そのためにも女性や子どもがもっと生きやすい社会を作っていきたい。男性にももちろん理解してもらう必要がある──そういうことを一つひとつ変えていけたらいいなと思っています。

- 竹下小百合
- 1978年仙台市生まれ、在住。大学研究室秘書や結婚相談所カウンセラーなどの経験と資格を活かし、2013年に夫婦・パートナーカウンセラーとしてミライフ(株)を起業。また、(有)三共ビジネスを祖父・父親から継承し、創業以来の印刷関連業に加えて、代表取締役として女性支援・経営者支援のセミナー、講座、コンサルティングなどの事業を行い、出張講師としても活躍中。離婚、子連れ再婚、アラフォーでの出産など自身のリアルな経験もチャンスに変えながら、女性の自己実現、少子高齢化時代の企業活動など、幅広くサポート。ライフイベントによる暮らしの変化で活躍を妨げられてきた“女性のライフをケア”することで見えてくる「新時代の家族と企業のあり方」について積極的に発信している。NPO法人ファザーリングジャパン東北代表理事。また、音楽関係の道に進みたいという長男とともに、親子で合同会社U・Nを起業、共同代表社員を務めている。
株式会社ミライフ https://melife-sendai.com/
竹下小百合オフィシャルサイト https://sayuri-takeshita.com/
インタビュー日 2023年5月25日
取材・文 玉居子泰子
写真 佐竹歩美
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