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仕事、住まい、つながり。リラックスできる町で、楽しく暮らせるのがいい

風間一恵

コワーキングとコミュニティオフィス 風笑堂/地域コーディネーター
青森 八戸

古き良きものが好き、大事なものを大事にしたい

─── むしろ、コーディネーター、プランナーなんじゃないですかね。五戸町の「ふるさとの家」にも、一恵さんが関わったと聞きました。それはどういう経緯だったんですか?

Uターンしてくるまで八戸市の周りの町村について、全然知りませんでした。移住コーディネーターの仕事に就いた時、周辺町村の役場の移住担当者さんに会いに行って情報交換したり、案内していただきました。八戸の隣の五戸町に行ったときに見せてもらったのが、茅葺屋根の築200年の古民家「ふるさとの家」です。江戸時代に建てられた農家さんの家を移築した展示施設で、中には立派な囲炉裏も残っています。すごく素敵なのに、あまり活用されておらず、残念に思ってしまって。周りの友達や知り合った人たちを集めてふるさとの家の掃除をするイベントをやったんです。その後、少しずつ認知が上がってきて、近所の人が遊びに来てくれたり、イベントで使ってもらったりするようになりました。

─── 今、この古民家の維持管理と活用に取り組んでいる「ふるさとの家保存会」の立ち上げのきっかけがその辺りだったんですね。

そうですね。ふるさとの家保存会は2020年の3月に任意団体として有志で立ち上げました。ふるさとの家のお掃除イベントが新聞に載ったことで、この家に以前住んでいた方が会いに来てくれて、保存会にも入ってくれたんですよ。「家を気にかけてくれる人たちがいるんだ」と喜んでくださって、今は一緒に活動してくれています。

─── 不思議な縁ですね。一恵さんは、誰かが大事に思ってきた家を開く役目なんでしょうかね。「風笑堂」もそうですし。

家というよりも、今の時代まで残されている古き良きものが好きだなぁと思うことはあります。古いものが失われていくのは、時代の流れで当然かもしれないんですけれど、使えるうちはもったいない、ちゃんと使いたい、大事にしたいなと思うんですよね。

─── 場所が大事にされていると、気持ちがいいですもんね。

Uターンしてからたくさんの出会いがあり、それが財産になっている実感があります。身をもって、つながりをつくる大切さを体感したし、地域の中にある大事なものにも出会っている。地域にとって、ここがそういう場所のひとつになれればいいなと思います。風笑堂、窓を開けると風が通るし、畳にごろんと寝転がると最高に気持ちいいんですよ。

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風間一恵
かざまいちえ 1981年八戸市出身。高校卒業後、岩手の大学への進学を機に地元を離れる。2016年、35歳でUターンし、移住コーディネーター、インターンシップや兼業のコーディネート職など、複数の仕事を組み合わせる働き方を実践。2020年、先輩Uターン者の女性と「ローカルコミュニティ風わらうラボ八戸」を立ち上げ(2023年8月で活動休止)。2022年「合同会社浜と山と」を設立し、築60年の古民家を活用した「コワーキングとコミュニティオフィス風笑堂」をオープン。

風笑堂 https://kazewaraudo.net/

インタビュー日 2023年5月29日
取材・文 塩本美紀
写真 古里裕美

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