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私を形作ってくれた地元・宮古のNPOで、次の世代に恩送りしたい

八島彩香

NPO法人みやっこベース 広報スタッフ
岩手 宮古

力をたくわえて、宮古に関わりたい気持ちがより強くなった

─── 高校卒業後はどちらにいかれたんでしょうか?

コミュニティビジネスやまちづくりについて学べる宮城大学に進学しました。大学内での学びだけでは飽き足らず、様々な経験をしながら自分の幅を広げていこうと思い、学外での活動にも力を入れていましたね。自分からいろんな団体に積極的に関わろうと思うようになったのも、みやっこベースでの経験が活きているからだと思います。

私、大学入学前に「大学を卒業したら、みやっこベースを継ぎます!」って大口叩いて宮古を出ていったんですよ。だから大学卒業後は宮古に帰ってみやっこベースで働こうって本気で思っていたんですけど、よく考えると今の自分のスキルで宮古に対して何ができるんだろう?って思ったんですよね。ある程度社会人としての経験を積んでから、宮古に戻った方がいいなって。

─── 自分に力をつけてから、宮古に帰ろうと。

はい。ただ、就職活動で東京に行くたびに、人が多くて満員電車通勤の東京では働きたくないな……できれば東北で就職したいなと思っていました。

その当時インターンをしていた会社のご縁で、ありがたいことに宮城県内の企業の社長さんから「うちに来てみない?」とお声がけいただきました。社長の地域を大事にしている姿勢に共感し、入社することを決めました。

職場ではとても良くしてもらっていた一方で、いつか宮古に帰るために、今まで学んできた地域に関することを仕事にしたいという思いが高まっていきました。1年ほど勤めたあと、学生時代にインターンしていた会社に転職することを決意しました。

─── 転職してからはどうでしたか?

広報をメインに、各プロジェクトのアシスタントに入ったり、自治体の総合計画をつくるお手伝いもしていました。地域住民を一軒一軒訪問して会議の案内文書を配ったり、会議の事務局をするなど地域に密着した業務を行い、さまざまな経験をさせてもらいました。

地域との信頼関係を構築するのはかなり時間がかかりました。やっと住民の方々と仲良くなれたと思っても、事業として関わる期限が2年と決まっていたので、そこで関係性が途絶えてしまうんです。そういった決まりなのでしょうがないとは思うのですが、中途半端というか、地域に対して責任を取れていないような気持ちになってしまって。

誠心誠意力を尽くしてずっと関係性を持つことができるのは、やっぱり宮古しかないなと、その時強く思いました。

─── より宮古に本気で関わりたいと思うようになったんですね。やっぱり、宮古に帰ろうと?

はい。当時、宮城県南に住んでいましたが、宮城出身の夫と結婚したので宮古に帰るのが難しいなと感じるようになりました。

ただ、コロナ禍でリモートワークになったことで、リモートなら宮城からでも宮古に関わることはできるんじゃないかと思い始めました。みやっこベース理事長の早川輝さんに相談し、リモートでみやっこベースの広報を週1で担当することになりました。

リモートで宮古に関わる仕事をする私を見て、夫も考えが変わっていったようです。

夫自身、私の宮古への想いを尊重してくれたこと、宮古の尊敬する大人たちから助言をもらったことから、夫婦で宮古に移住しようと提案してくれました。そして、2022年4月に夫婦で宮古に移住しました。夫は地域おこし協力隊の隊員、私はみやっこベースのフルタイム広報スタッフとして、宮古に関わっています。私にとっては8年ぶりの宮古での生活です。

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