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田舎暮らしに選択肢を加えたら、女性や子どもの可能性は広がっていく

植田敦代

一般社団法人SUMICA副代表理事/ NPO法人wiz理事
岩手 住田

働き方を増やして、子どもがいる女性が社会に出ていける岩手に


─── 岩手をフィールドに多方面で活動されている敦代さんですが、改めてどんなことをしているか教えてください。

メインの活動は岩手県住田町にある、まちの住民交流拠点施設「まちや世田米駅」の管理・運営です。あとは、その施設を活用したイベントの企画もしています。他には、関係人口創出を目的としたイベントの企画やツアーとか。個人事業主としてもらえている仕事が、インターンシップやワーケーションのコーディネート事業ですね。

─── 移住者として今までたくさんのインタビューを受けてきたと思いますが、お子さんが生まれてから初めてのインタビューということですね。活動や生活に変化はありましたか?

まちやの仕事は育休中です(2022年1月から復帰)。東京から岩手に2012年に帰って来て、それからずっと忙しかったんです。でも、コロナ禍で出張にも行けない状況が続いたり、息子が生まれたりして。ここまでのんびり過ごせているのは初めてと思うくらい、ゆっくり過ごしています。息子を連れて散歩していると、近所のお宅に声をかけてもらって3〜4時間過ごして、そのまま夕ご飯までご馳走になったり。そんな風に過ごせている毎日が、コロナ禍という状況ではありますが、幸せだなと思っています。

─── ずっと忙しかったけど、ペースを落とせたんですね。なんだか子育ても楽しんでいそうですね。

楽しいですね。「孤独を感じませんか?」とか「育事ノイローゼになっていない?」とか心配してくれる人もいるけど、ありがたいことに私は「ちょっとないなぁ」みたいな(笑)。環境の変化に伴うマインドの変化はないですね。楽しくやれています。

─── 育休が終ったら、子育てをしながら働くことになりますよね。

そうですね。保育園に入る予定です。それまでは、まちやでおんぶしながら仕事してもいいかな、なんて思っています。おんぶして働いている私をこの地域の人が見たら、「預かるよ〜」って誰かが代わりにみてくれそうだし(笑)

─── 女性の働きやすさを考えたのは、子どもが生まれてからですか?

出産前から、「まちや世田米駅は、子育て中の女性が働きやすい場所にしたい」と、思っていました。いや、実は、岩手に帰ってきた時からそう思っていました。子どもがいる女性が社会に出ていける岩手だといいなって。その考え方は、今も変わっていないかな。だって、自分がそういう環境じゃないと、嫌になっちゃうと思うんですよね。

在宅ワークや、子育てしながら仕事したいと思う人が、これからもっと増えると思います。というより、それが普通になっていくんじゃないかな。在宅ワークだけではなく、子連れ出勤も普通にならないといけないと思います。

─── 確かにそうですよね。積み重ねてきたキャリアやスキルが、生かせなくなるのはもったいないですよね。

女性のキャリアが活かせるといいですよね。ママたちって自分自身のことはあんまり話さないですよね? 悪いことではないのですが、もっと自分のことや仕事の話をしてもいいと思います。
自信をもって仕事ができるとか、個人でも仕事できるということが広がっていくといいですよね。働き方が変わっていくと、もっと女性が楽しく過ごせるんじゃないかな。岩手には子育てしやすい自然環境は十分にあるから、あとは働きやすい環境が整えばいいと思います。

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