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ドン底から救ってくれた海との暮らしは、私らしく進む道を照らしてくれる
三浦尚子
ワカメ生産者/ライフスタイルブランド「ura」
岩手 陸前高田
頼れる人がいるという安心感。これからは私なりの形で恩返しを
─── 漁業に携わる尚子さんだからこそ、生まれる発想ですね
商品開発に関しては、ずっと伴走してくれている友達が東京にいるんですが、週1回、オンラインで話をしながら、自分の思考の整理やブランディングのサポートをしてもらっています。そのおかげで、私がやりたいことや作りたいものを形にできているんです。
手にした人が、自然の循環や環境について考えるきっかけになる物作りをしていきたいですね。まだ、全然成り立ってはいないので、これからどういう風になっていくかは未知ですが、それがまた楽しみでもあるんです。
─── 大変ながらも、楽しみながらお仕事をされているんですね。尚子さん自身、ここまで頑張ってこられた理由は何ですか?
1つは、海ですね! 海が好きだからかな。海でも私のお気に入りの場所は、いつも仕事をしている矢野浦漁港です。この場所が一番好きなんです。特に夏の夕方の海がとってもキレイで。いつも「ここが私の職場です!」と胸を張って紹介しています。
─── 尚子さんにとって、自慢の仕事場なんですね。
そうですね。そう思えるのも、やっぱり周りにいる人たちのおかげだと思っています。
正直、一人では何もできなかったなって。移住してきたばかりの時、動けなくなるくらいまで体調を崩してしまって。当時車もなかったので、千田さんに病院まで送り迎えをしてもらったり、ご飯を作ってくれたりと、家族でもない私を看病してくれました。もし、都会で一人暮らしをしていて、同じ状況だった時、こんなに心配して親身になってくれる人がいるだろうか? と思いましたね。
他にも、一緒に働いている近所のおばあちゃんが、毎日私のお弁当も作ってくれて。ここで暮らしていて、とにかく周りの人の優しさで、生かれているなと思います。
─── きっと尚子さんが信念をもって、仕事にまっすぐに取り組んでいるから、周りの人たちも応援したくなるんでしょうね。
そうですかね(笑)。
でも今まで、ドン底だなと思うことがあったとして周りにいる人は、めっちゃイイ人。ということが多い気がします。人に恵まれて生きてきた感じがしますね。
感謝の気持ちは絶対に忘れないで、自分の想いをひとつずつ形にしていけたら、今まで関わってくれている人たちへの恩返しになるのかなと思います。
─── これからの目標はありますか?
まず、自分でちゃんとできること。まずはそこですね。でも、できないなと思うことがあれば、誰かに頼ってもいいよなと思います。養殖も一人でできるものではないので、必ずしも夫婦という関係だけじゃなく、違う養殖をしている人とパートナーを組んだり。農業とか林業など、違う一次産業の人と一緒に作業をしてみるとか。お互いの空いている時間を使って、持ちつ持たれつの関係でやってみたいなと考えています。今はそこを模索中ですね。
あとは、無理をしないで安全にやっていくことかな。こわいなと思ったら、やらないという選択肢もあると思うので。
- 三浦尚子
- 1991年生まれ、神奈川県出相模原市出身。岩手県陸前高田市在住。大学在学中に所属していたゼミで、震災の傾聴ボランティアとして初めて陸前高田を訪れる。進路や取り巻く環境で、将来について悩んでいた時に、ワカメ作業のアルバイトが決まり、再び陸前高田へ。海の仕事にすっかり魅了され、大学卒業後の2014年に移住。漁業の世界へ飛び込み、2020年ワカメの生産者として独立し、養殖をはじめる。海を眺めながら、ご飯を食べるのが至福の時。海の他に、写真を撮ること、寝ることも好き。
https://ura-lifestyle.stores.jp/
Instagram アカウント名 @neripiko
インタビュー日 2022年8月8日
取材・文 吉田ルミ子(一般社団法人トナリノ)
写真 本人提供
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