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自分の人生は自分が決めていい、「ナリワイ」が私をエンパワーしてくれた

菅原明香

ナリワイALLIANCE代表/全国通訳案内士/複業アーティスト あかるさかおる
山形 三川

修了生でつくった“アライアンス=連携”の仕組み

─── そうなんですね。代表をされているナリワイALLIANCE(以下、アライアンス)のことを聞かせてもらえますか。

2016年度の起業講座で12人ぐらい一緒に修了したんですが、すごく仲良くなったんですよね……。それまで月1でミーティングしてきたのに、ここで終わったらもったいないと思って、修了生のアライアンス(=同盟)団体を作ろうと。言い出しっぺの私が会長になりました。

例えばママ友とは子どもの話をするのであって、自分の話をしないじゃないですか。でもナリワイ起業講座では「自分の話をしよう」というのが柱で、ママ友に喋ったら引かれるようなことでも、安心感があって話しやすかったんですね。私たちの同期には難病患者さんもいたし、宇宙開発の仕事をしてきた人もいた。バックグラウンドが多様な人たちと自己開示し合っているっていうのが良かったんだと思います。最初は同期に声をかけて、そのあと、前後の年度の人たちも誘うようになりました。

─── 起業講座修了生でカフェを開業した人もいましたね?

はい、鶴岡市の「古今cocon」っていうカフェ、彼女は3年くらい後の修了かな。アライアンスを作って、縦のつながりができたのはすごく良かった。同期じゃないとなかなか仲良くなれなかったのが、そこを超えてコラボできるようになりました。

ナリワイプロジェクトは起業講座だけど、必ずしも起業にこだわっているわけでもないんですよ……農家の人もいるし、普通の会社員もいるし、公務員もいる。みんな、「欲しい未来は自分で作る、仲間と作る」っていうナリワイの考え方をベースの部分で共有しながら、仲間と一緒に何かしたい、または応援したいっていう関係が続いている感じです。逆に、大きく起業してネットワークから抜けていく人もいます。それはそれで応援します。

─── なるほど。地域につながって何かしたい、変化したいと思っていて、助け合うような関係?

そうです、内向けの活動はOG 、OBたちの助け合いですね。毎年名簿を更新して、会員で月1ミーティングをしています。変動はあって、今年は15人かな。最近のナリワイどう?っていう質問をまず1周回すところから始めます。ミーティングだからお茶飲みではなく、最近やっていることや、次にやってみようと思っていることがテーマ。説明なく、いきなりその話題ができるのも良いところです。

─── 内向けの活動以外に、外向けの活動もあるんですか?

外向けには、メンバーでプロジェクトチームを組んで、婚活、子育て、ジェンダーなどの分野で活動しています。一人一人だと点でしかないけれど、絵本の「スイミー」みたいに集まって面で見せられるようにしています。

私も所属する子育てチーム「子育てALLIANCE」では、子どもがいてもいなくても、地域のみんなで子育てできるようなコミュニティを作ろうと頑張っています。子連れで参加できる勉強会が全然ないからもうやっちゃおうと「manabiじかん」という活動を始めました。昨年はSDGsの活動家を呼んで講演会をしたり、この間は静岡県のフェアトレードの専門店の店主さんをオンラインでお呼びしたり。それと、毎月1回、子育てをテーマにした「idobataらんちたいむ」をカフェ古今のお座敷と、zoomでのハイブリッド開催しています。多世代の多様な人たちで子育てについて喋れるような場を目指していて、男性で育休中の方なんかも参加してくれます。それに、オンラインでやっていると他県からUターン、Iターンしたいという人が来てくれるようになったりして。

─── へえぇ、何かの縁をたどって、ランチ会の存在を知るってことですか?

そうそう。例えば、鶴岡に戻りたいけど、今の鶴岡ってどんな風かわからないみたいな人とか。1人オンライン参加してくれた方が、本当に家族で鶴岡に帰ってきたんですよ! idobataらんちたいむだけがきっかけではないとは思いますが、鶴岡でリアル参加してくれた時は嬉しかったです。UIターン・関係人口促進の視点で始めたことではないんですが、ただ、結果としてそうなっているんですよ、面白いことに。今年度はidobataが進化して「子ども食堂の日」も始まりました。

ジェンダーがテーマのプロジェクトでは、今年度は月1回のワークショップ「ジェンダー初めの一歩」を開催しています。

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