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仕事、住まい、つながり。リラックスできる町で、楽しく暮らせるのがいい
風間一恵
コワーキングとコミュニティオフィス 風笑堂/地域コーディネーター
青森 八戸
「風笑堂」、家との出会いが事業立ち上げのきっかけに
─── 一恵さんたちの「風笑堂(かぜわらうどう)」って、いい名前ですね。運営母体の「合同会社浜と山と」も、ネーミングセンスが素敵です。これはご自身でつけたんですか?
もともと、2020年に八戸地域に暮らす人たちがつながり、学び合うローカルコミュニティ「風わらうラボ八戸*」を始めたのが最初です。八戸って、海の町で風が強いんですよね。ヤマセって冷たい風も吹いたりして。「わらう」っていう言葉は縁起が良くていいなぁと思っていたんですが、「風わらう」っていうのが八戸らしさが加わっていいんじゃないかと、事業パートナーである蕨(わらび)加奈子さん(合同会社浜と山と 代表社員)と話して決めました。社名の「合同会社浜と山と」は、海も山もある八戸周辺エリアを楽しみ、この地域に根差した会社、事業をしていきたいという気持ちでつけました。「風笑堂」は、この築60年の古民家に合う言葉を考えていた時に、お世話になっているデザイナーさんが提案してくれた名前で、わたしたちもとても気に入っています。
─── ローカルコミュニティを始めようと思ったのはなぜなんですか?
仕事や働き方ってすごい勢いで変わっていくじゃないですか。蕨さんは私より少し年上でWebディレクションやSNSコンサルティングの個人事業主、私は複数の会社をかけ持ちで働いているパラレルワーカーだけど、この仕事や働き方がずっと続けられるのか先が見えないな、とよく話していました。2人ともそれぞれの事情で八戸にUターンして暮らしているけれど、どうせ八戸にいるのなら、八戸で楽しく生きたいよね、どうやったらできるのかなって。
どんなにいい条件の仕事があってもやっぱり、友達や知り合いができないと長く住めない。仕事があって、住まいがあって、つながりがあるっていう、3つが揃えばいいんじゃないかなって考えたんですよ。そんなつながりができるコミュニティを作りたいと思って始めました。
─── 具体的にはどう始めたんですか?
直接のきっかけは、コロナです。対面で仕事をすることが制限されたときに、オンラインツールの使い方がわからなくてすごく困った事業主さんがまわりに多かったんです。蕨さんも個人事業主として働いていたので、個人事業主が事業を続けていくために必要なことを情報共有したり、気軽に相談できる先輩や仲間とつながれる機会があればいいんじゃないかと感じていました。2人で話しているうちに、起業サロンとは違う、働き方は関係なく、個人事業主でも会社員でも公務員でも、一緒に学びあったり、この地域で仲間を作れる場を作ろうと。ローカルで、個人でがんばっている人や楽しく暮らしたいと願う人をつないで、支え合うコミュニティが風わらうラボです。
─── それが、「風笑堂」につながったんですね。女性2人で発案したコミュニティですが、現在の風わらうラボの会員も女性が多いんですか?
2023年5月時点で会員さんが25人くらいいて、男女比は半々くらいです。場所を持つことになったのは半ば偶然でして。最初は、自宅で仕事していた蕨さんと私が一緒に仕事できる場所を借りようかという話をしていて、たまたまこの築60年の古民家を見つけました。実際に内覧したらとても立派で大きくて、こんなに大きいなら、いろんな人に使ってもらえる場所にしたらいいよねと、そこからコワーキングスペースやコミュニティスペースとしての事業を考えていきました。実際に物件を契約する段階で、周りからのアドバイスもいただきながらふたりで話し合い、このタイミングで会社を設立して、風わらうラボも会社の事業のひとつとして運営することにしました。
─── そうか、家との出会いがきっかけなんですね。写真を見ましたが、すごく可愛い家ですよね!
昭和40年代に建てられた家で、この地域の地主さんのお宅です。昔はここで寄り合いもやっていたそうで、まさにこの地域の中心となっていた家です。それだけでなく、障子や大きな窓、色のついた欄間やガラスなど建具がすごく可愛いんですよね。こういう建具にはなかなか出会えないですよ。大家さんは自分が育ったこの家をとても大切にしていて、よく手入れをしてくださっていました。「せっかくなら誰か大事に使ってくれる人に貸したい」と思っていたところで、私たちが見つけて、使わせていただいています。
風笑堂のコワーキングスペースは机と椅子ではなく、畳に座卓です。こういう雰囲気が好きな人はリピーターになってくれますね。
4月からは、地域のクリエイターさんたちの勉強会や、親子向けのイベント、生活術の講座なども開催していますが、特にクリエイターさん向けの企画が人気です。地方在住のクリエイターさんは同業者と出会う機会や学ぶ機会が都市部に比べて少なかったりもするので、風笑堂がきっかけになって、地域にいるクリエイターさんの顔が見えるようになったり、異業種の人とつながることで新しいお仕事が生まれたり、そういう循環を作れたらと思っています。
─── そもそも、事業パートナーの蕨さんとはどこで出会ったんですか?
2016年に八戸にUターンしてから、八戸周辺地域に移住したい人をサポートする「移住コーディネーター」の仕事に就きました。地元とはいえ知らないことの方が多かったので、市内で開催されたまちづくりワークショップに参加しました。そこで、同じグループになったのが蕨さんです。8人くらいのテーブルだったんですが、発言するのがほとんど蕨さんと私(笑)。その時に名刺交換したんですが、蕨さんの名刺には「Webディレクター」と書いてありました。八戸でWeb関係の仕事をしている方なんて初めてだったので驚き、一方で蕨さんは「移住コーディネーター」っていう仕事があるんだと驚いたようで、お互い「へぇー!」という出会いでした。蕨さんは子育てをきっかけに私より数年前に家族でUターンしておられたんです。
*風わらうラボ八戸は2023年8月を持って終了し、活動は「コワーキング&コミュニティオフィス 風笑堂」に集約しています。