005

地元に帰ってきたから、自分らしくワクワクできるチャレンジがあった。

横山沙織

認定NPO法人底上げ スタッフ
福島 いわき

答えはきっと自分のなかにある

——いわき市にはいつから住んでいるんですか? 現場が遠くなって、モチベーションが下がったりしませんか?
結婚して、妊娠したことを機に、2019年からいわきに住んでいます。

これまでもオンラインでの仕事が中心だったんですけど、コロナ禍で気仙沼と行き来ができなくなったことで、今は現場がどんな様子か、空気がなかなか掴めないんですよね。もどかしさや寂しい気持ちはあるけど、しがみついてまでやりたいと思わないようにしています、そういう時期だと思って……。

気仙沼は自分のホーム感がある場所。今は、前みたいな形の関わりはできないけど、「おかえり」って言ってくれる人たちや場所が、気仙沼にはあるなあって。

写真提供:認定NPO法人底上げ

─── 気仙沼がそう感じさせる空気を持っているんですね。
外からの人に対してオープンな土地だなって思います。震災後に移住している同世代の仲間たちのネットワークが出来ていて、みんな仲が良い。はじめての人を連れて行っても、世話好きの人が沢山いて、安心できる居場所がある。

─── 気仙沼での実際の活動を通して、以前とは自分が変わったことってありますか? 
大学を卒業した頃は、社会の役に立ちたいとは思いつつ、確実なものじゃないと不安でした。会社員の肩書きがあって、福利厚生が保証されていること、とか。Uターンして民間財団に入り、NPO に転職し、前のような確実さは無くなりましたが、無いことに対して、不安に思うかどうかは自分次第なんだと思います。これから先どうなるか分からないことも多くて、これで子どもを育てられるのか?と思うこともあります。揺れ動きながらも、まあ、「なんとかなるか」って思えるようになりました。

写真提供:認定NPO法人底上げ

─── 「なんとかなる」って、私も好きな言葉です。そう思えるようになったのはどうしてでしょう?
そうですね、何ができるようになったか、うまく答えられない自分がいたけど、少しずつ拙い言葉で説明できるようになってきました。たとえば、チームのなかで困っているところを察して動くとか、いま何が必要か想像して行動ができるようになったとか。自分に明確なこれがやりたいとか、これじゃなきゃ嫌だみたいなこだわりがないから、何かプロジェクトを進めるときに足りないこと、必要なことがなんでもやれる。何もできない頃から、年を重ねて何かできる者になったとは思っています。これからどこに向かってくんだろうって思うときもあるけど(苦笑)。

1 2 3