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飛び込んだから自分の価値に気づけた。今度は女性の生き方を応援する側に
板林恵
一般社団法人トナリノ
岩手 陸前高田
ママたちが集まれる場所をつくりたかった
─── 恵さんは一般社団法人トナリノという団体で働いているんですよね?
はい。トナリノは震災後にできた(一社)SAVE TAKATAが法人の目的を「復興」から「地域課題の解決」に進めて生まれ変わった団体です。私はそのなかで、女性が暮らしやすく、働きやすい地域づくりを目指した事業を担当しています。具体的には、女性が集まりコミュニティができる場づくり、ライティングやカメラを学ぶ場の企画や実施をしたり、ママライターが発信するWEBメディア「なないろぷれす」の編集長もしていて、自分でもライター、カメラマンとして記事を作ります。講話の講師に呼んでいたただき「ママたちがどうやって一歩を踏み出すか」の話をしたこともあります。
─── いろんな活動をされているんですね! トナリノ以外でも、活動をされているそうですが……?
はい、「ママのぱわーすぽっと陸前高田」という団体を有志でつくって活動しています。今はコロナでなかなか活動ができていないのですが、自分たちがやりたいことに人を巻き込んでやっているような感じです(笑)。
─── 「ママのぱわーすぽっと陸前高田」とっても気になります。どんな団体なんですか?
2016年に陸前高田で地域活動をしている女性2人とつくった団体です。一度3人で集まって「最近活動はどう?」と話してみたら、困っている事が一致していたんです。イベントをやりたいけど、収益が出ると会場費が高くなる……など。思っていること、解決したいことも同じだから、それなら3人でグループにしてしまったら、うまいことやれるんじゃないかって。
ママたちが集まれる場所をつくりたいというのがベースにあるのですが、自分たちがこういうのがあったらいいなというのを実現できるのが、「ママのぱわーすぽっと陸前高田」です。
─── 今までどんなイベントを開催してきたんですか?
3人に共通しているのが、「食べることが好き」ということなんです(笑)。
美味しいものを食べたいからという理由で、大手のクッキングスクールさんとコラボして、みんなでご飯を作って食べる企画をしました。
他には、ママフェスを計4回開催しました。3人でランチをしていて「何か楽しいことやりたいね」から、「ママフェスやりたい!」となって。でもお金もないし、やれるかなと思っていたときに、NPO法人ウィメンズアイが「コミュニティ・アクション」という枠組みで、地域でこんなことをやってみたいという団体に、10万円の助成金を出してくれることを知って、申請しました。
─── やれる可能性が広がりますね! ママフェスではどんなことをしたんですか?
子どもをメインにしたイベントって結構あるんですよね。でも、ママに特化して、ママが癒される、楽しめるイベントがないなと感じていたんです。ベビーマッサージやヨガ、コーチングを学べるブースを作りました。他にも、地元の珈琲店に来てもらったり、ママはネイル体験や子どもは絵本の読み聞かせをしてもらったり、親子で楽しんでもらえたらと思って。子どもが楽しいとママも嬉しいというのもあるので、大型遊具も置きました。
ママ同士交流ができたらと思って、おにぎりや軽食を用意して食事ができる部屋も作りました。でも予想以上の人数だったので、途中で足りなくなってしまって、近くのスーパーまで買い出しに行きました (笑)。
初回の2016年は平日だったし、30組くらい来てもらえたらいいなと思っていたら、84組。ママと子どもを合わせて200人くらい来てくれたんです。
─── まさにママが求めていたイベントだったんですね!
そうかもしれません。そういった場がなかったから、あんなにたくさんのママが来てくれたのかなと思います。あとはSNSでいろんな地域の情報がとれる時代で、世の中でフェスやっているんだなって知っていたと思うんです。ついに高田に来た! という感じはあったと思います。ママって一人で子育てしていると孤独だから、参加するママもイベントを通じていろんな人とつながったらいいなと思っていて。フェスの出店者も基本女性なんですよ。地域活動をしている女性に声をかけています。