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デンマークに行き、日本の教育は変えられるはずだと、火がつきました

宍戸直美

一般社団法人IVENU 代表理事
岩手 奥州

自分自身に直感的に生きることが一番楽しいし幸せだよね

─── 直美さんはアイビーナという法人を設立されたそうですね。活動をはじめてどれくらい経つんですか?

6年くらいですね。一番最初は「奥州子育て応援隊」という形で、奥州市の協働支援事業としてママ向けのイベント「ママフェス」をしていました。2年目になった時に、もう少し広い意味で地域の女性と子どものためにやりたいと思って、「奥州子育て応援隊」を、「地いき楽しくアイビーナ」という名前に変更しました。

改名してからは、大人も子どもも一緒にイベントを楽しめる場作りをしようと思い、プレーパーク(冒険遊び場)作りなど、子育て世代向けのイベントやワークショップを実施しています。

─── 最初に、ママフェスをやろうと思ったきっかけは?

夫の仕事の都合で転勤が多くて、子育てしながら東北各地を転々としながら暮らしていたんです。山形県、宮城県などで暮らしたあとに、岩手県奥州市に来ました。自分の故郷である岩手県に来たものの、なんだか雰囲気が窮屈に感じてしまって。

ママというだけで、行動が制限される感じが不自由だなと思って……。ママにだって、家族のために過ごす人生があれば、女性としての人生があるし、1人の人としての人生がある。

いろんな側面があっていいと思うんだけど、子育ての悩みをママだけが抱えるということにも疑問を感じていて。自分らしく生きていいし、子育ても自分スタイルでいいよねって。

そんな思いでママフェスというイベントを実施したんです。でも結果的には、我慢して仕事をする感じになったり、ボランティアで関わるママが疲弊することになっちゃって……。やっぱり、イベント事というよりも、地域で楽しく過ごす人を増やしたいと思いましたね。

団体名のアイビーナという名前も、アイ(I)ヴィーナス(Venus)の造語です。自分が女神みたいに自分らしくいていいし、自分自身に直感的に生きることが一番楽しいし幸せだよねっていうことを大切にしたかったんです。

─── “私らしく”っていうことを、すごく大切にしているように感じます。

小学校のときから日常に窮屈さを感じていて、中学1年生のときに、学校に行かないという選択をしました。敷かれたレールを当たり前のように歩くことを強要されているような気がして、そこに自分がいないような感覚に気づいたらとても嫌で。私は反発してますっていう精一杯のアピールをしていたんですね。

子どもの頃から、社会や家族との折り合いがつかず、自己肯定感も低くて。学校に行かないという“社会”からは離れた人生を送っていたから、大人になっても、社会の影の存在の人だなと思っていたし、社会に必要がない存在だと思っていました。

─── 今の活動的な直美さんとは全然違う印象を受けます。

仙台に住んでいた時に、バランスボールのインストラクターを取得して、ママたちに教え始めたことがきっかけで、自分でもコミュニティ作りみたいなものができるかもしれないと思うようになりました。

こういう私だからこそ、何かできることがあるのかもしれないし、今の社会に適応しづらい人たちも社会の一部なんだという証明ができるのかもしれない。そう思い始めて、イベントをする度に、少しずつ自分に自信がついてきた感じですね。

─── インストラクターの経験が、変化をつくリ始めたんですね。

イベント事から始まったんだけど、ずっと私の中ではイベント事をやりたいんじゃないんだよなっていう思いがありました。じゃあ何がやりたいのかっていうのはわからなかったんです。

毎年、活動をやめたいなと思っていました。何でやらなきゃいけないのか、もうやめたいなって。でもやめてバランスボールの先生だけをやっている自分を想像しても、ピンとこなかったんです。どうしたらいいんだろうかってモヤモヤがずっとあって。

自分をかきたてるものが何なのか、コントロールがしづらい部分が自分の中にあって、自分でもよくわからないけど、根拠のない自信のようなものが直感的に働いて思いついたことをやるしかないと、やり続けてきた感じです。

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