082
リアルな経験を活かす。離婚・再婚・出産を経て、描き直したライフストーリー
竹下小百合
夫婦・パートナー問題専門カウンセラー/ミライフ(株)代表
宮城 仙台
夫婦カウンセラーでありながら離婚を選んで
─── 小百合さんは、仙台で夫婦カウンセラーをしながら、女性支援の会社経営、父親支援のNPO法人の理事をされたりと、幅広く活躍されています。活動の原点はどんなところにあるのですか?
事業をいくつか行っていますが、共通しているのは、女性が生きやすい社会を作りたいと言う思いです。特に、私は生まれも育ちも仙台で、東北の女性がもっと楽しく自分らしく生きられるようになれたら……、という思いが強くて。起業する際も、自分の人生を生きると言う意味で「ミライフ(me life)」という社名をつけました。
NPO法人ファザーリング・ジャパンと東北の理事として男性の育児支援も行っていますが、それも女性が生きやすい社会には、男性の理解が欠かせないからなんです。
─── 確かに。女性の視点だけではなかなか周囲の環境は変わらないですもんね。
長く続けている夫婦カウンセリングの仕事を通しても、ほんとにそう思います。この仕事を始めたのは2012年頃。一度目の結婚をしている時でした。初めての起業で、当時の夫も応援してくれて、当初はうまくいっていたのですが……。その後、夫とは色々あって2年後に別居をし、2015年の秋に離婚をしました。
今でも元夫とは息子のことで連絡を取ることもありますし、息子にとっては良き父親だと思います。
でも当初は、夫の言ってくることに対し、返すことができなくて。追及されるたびに、黙っていたほうが楽になってしまったんですよね。まあ、一番の原因は、私が自分の意見を言えなかった、ということなのだと思います。
─── 具体的にはどんな感じだったんですか?
機嫌が悪いと無視をするとか、意見が食い違うと理詰めで「なぜ?」「どうして?」「理由は?」などと強い口調で言われたり……。
あと夫は、「母親はこうあるべきだ」という思いが強すぎたんですね。たとえば、仕事のために2泊の研修を受けたいと言ったら「母親なのに家を空けるの? 息子のご飯はどうするの?」と言われたり。他にも「共働きをしているというなら同額の金額を家に入れるべき」とも言われましたね。そんなことが続いて、言い返すことも疲れてしまって、溜め込んで何も言えなくなっていました。話すときは夫の機嫌を損ねないように敬語を使っていました。
─── 対等じゃない感じだったんですね。
そうですね。結婚前は、同じ職場にいました。夫をしっかり見て「この人となら結婚生活、やっていけそう」と思っていたんですが……ふたをあげてみたら全然違いました(苦笑)。
ある日、夫の休みの日に息子を頼んで、私が少し遅く帰ったら、息子をほったらかして夫は酔って寝ていたんです。私が帰宅したのをみて、息子は甘えて泣き出して。すると今度は夫が「うるさい!」と怒って。息子はびっくりして大泣き……。
私は深呼吸した後、夫に「3歳児相手に本気で叱ることないんじゃないですか?」と言ったら、物が飛んできました。咄嗟に避けましたけどね……(笑)。
その時に、スーッと冷静になって「ああ、もうダメだな」と思ったんです。その夜のうちに数日分の荷物をまとめて、息子を連れて実家に帰りました。