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障がい児の子育てで気づいたこと「お母さんは自由でいい」

山﨑友里絵

障がい児を育てるママの会「とまり木」代表
岩手 大船渡

障がいを持つ子どもを育てるママの居場所づくり

─── 友里絵さんが立ち上げた「とまり木」という団体は、障がいのある子どもを育てるお母さん向けに「ママカフェ」を開催しているんですよね?

はい、障がい児を育てるお母さんたちが育児の息抜きができる場所になればいいと思いました。私には息子が3人いて、双子の次男と三男には知的障がいがあります。体も弱いし、出かけるのは周りに迷惑をかけるんじゃないかって心配になるんです。それで自宅にこもってしまうと、そのストレスで子どもに当たったり、自分を追い詰めてしまう。だから、同じように障がい児を育てるお母さんたちも同じことを感じているかもしれないって思って、ママカフェをスタートしました。

─── 確かに、そういう場所って必要ですよね。

はい。でも今は、コロナの影響で活動を休止したままです。というのも障がい児は、基本的に体も弱くて、感染症にかかりやすくて重症化しやすいんです。それに、私も活動メンバーも仕事を始めたこともあって、再開は未定ですね。

写真提供:本人 ボランティアスタッフ(左の2名)、友里絵さん、活動メンバー(右)

─── そうなんですか。ママカフェの企画ではどんなことをしましたか?

一番最初の企画は、地元の美容師さんをママカフェに招いて「ママ向けの1,000円カット」をしました。髪をカットしてもらう、そんな当たり前の時間も障がい児のお母さんたちにはないんです。2年半ぶりのカットに感激して泣いちゃう方もいました。あとは、地元の小児科医を招いて、障がいや発達などのお話をしていただきました。普段の診察ではゆっくり話を聞くことも難しいので、お母さんたちも喜んでいました。

─── 障がい児を育てるお母さんにとって必要な時間ですね。

いろんな企画をしましたね。手作り小物のワークショップとか、ヨガの先生に作ってもらったヨガ動画を配信したり。手や体を動かしつつ、集まってグチを話したりするだけでも、リフレッシュになればいいなと思ったんです。

─── ママカフェ以外にも、ウィメンズアイの少額助成金「コミュニティ・アクション」を活用されていたとも伺いました。

はい、2020年にコミュニティ・アクションの助成を受けて、障がい児の絵を使ったアートグッズを販売しました。絵をヘアゴムの飾りに転写したり、Tシャツやうちわ、エコバッグに直接絵を書いたものを販売しました。

─── すごく評判が良かったそうですね?

はい、あとは子どもたちと育てた野菜も販売しました。農家の友達に教わりながら作ったので、すごく美味しくできたんです。大船渡市の商業施設で開催していたイベントで、大葉、サニーレタス、人参を出品しました。活動費を助成していただき安く出せたので、あっという間に完売でした!

─── すごい! なぜ野菜を作ろうと思ったんですか?

家の畑で野菜を育てていたのですが、近所のおばあちゃんが声をかけて手伝ってくれたり、苗をくれたり。子どもたちにお菓子をくれました。周りの人たちには、子どもに障がいがあることを知っていてほしいという気持ちもありました。野菜を育てることで、いいきっかけになったと思います。

写真提供:本人

子どもに障がいがあることを隠したり、迷惑をかけるからって閉じこもるんじゃなくてお互いが助け合う、そんな社会が実現できたらいいなぁとも漠然と考えていました。障がい児にもちゃんと役割があればいいなとか。そうすると、大人になった時にも困らないかもしれないなって。

─── 少しずつお仕事をさせてみた、という感じですね。

はい、家にこもらずに外に出ることや役割を与えることは、中学、高校時代に不登校になってしまった私に、おじいちゃんが教えてくれたことでした。

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